学生たちへのメッセージ
講義において、私は皆さんに「不動産とは何か?」という根源的な問いを投げかけます。 不動産は、時に金融資産であり、時に生活の器であり、都市の一部でもあります。その多義性を理解することこそが学習の第一歩だからです。
ここで紹介するのは、私の恩師の著書から引かれた一節です。 現代の市場において、不動産の経済的価値は変動し、管理すべきリスクを伴います。しかし、それらが立脚する「土地」という存在そのものは、悠久の時間を超えて人々の営みを支え続けてきました。 この引用は、私たちが扱う対象がいかに力強く、また静かなるパートナーであるかという「不動産の原点」を、極めて叙情的に語りかけてくれます。
What is real estate?
”私はあらゆる富の基礎であり、賢く思慮深く倹約を知る者たちの遺産である。
私は貧しい者の楽しみと安らぎであり、富める者の栄誉であり、資産家の右腕であり、成功をおさめた者たちの沈黙のパートナーである。
私は伴侶を失くした婦人の慰めであり、老人の安らぎであり、災難と困窮のときに生活を保障する礎石となる。私は、幾世代にもわたって子供たちに引き継がれる。あたかも偉大な資産であるかのように。
(中略)
私の価値はほとんど永遠の将来にわたって成長し増大する。私は冬眠しているかのように不動だが、私の価値は増大し続ける。下落することもないし消滅することもない。時間は私の味方である。人が集えばいっそう私の価値の増大に拍車がかかる。火を付けるなり何なりとしてみよ。決して私を破壊することはできない。
(中略)
すべてのものが衰退し朽ちていく一方で、私は生き残る。何世紀たとうと私は若くいっそう力強さを増していく。
(中略)
鉱物や石油は私から採れる。私は食料の生産者であり、船舶の基地であり、工場の基礎であり、堤防の土台である。
私の存在があまりにもあたりまえのことなので、多くの者は意識せず気づかないで通り過ぎていく。
私の名は、土地。”
(出典:Lou Scott, What is real estate ?(J. Harvey (1987), Urban Land Economics, Macmillan Education Ltd. 高辻・前川(1997). 不動産学の基礎. 財団法人放送大学教育振興会にて引用・翻訳 )